2026/09/03 00:00
日本調理科学会2026年度大会にて朝のひとくちめが広島大学と共同で開発した離乳食「お守りお野菜ペースト」を使用した「離乳期用ケーキ」に関する口頭発表を行いました。
共同で「野菜のおいしさを引き出した離乳食野菜ペースト」の開発を行ってきたなかで、広島大学の学生さんが4年生の卒業研究として、それらの野菜ペーストを使用した離乳期用ケーキのレシピを開発、物性等を研究してくれました。その研究結果を、共同研究者として朝のひとくちめ 田野実が学会にて発表いたしました。抄録はこちらの記事の一番下「ABSTRACT」からご覧いただけます。

テーマは「東広島の地域食材を使用した特定原材料不使用の離乳期用ケーキの物性と嗜好性」です。
女性の社会進出に伴い、ベビーフードの市場は年々拡大しています。特に離乳完了期においては、3度の食事だけでは足りない栄養を補完するための「おやつ(補食)」の重要性がとても高まっています。保護者の方々は、利便性や栄養価を重視するのはもちろんのこと、「アレルギー成分が含まれていないか」を基準に食品を選択される需要も多くあります。

一方で、子どもたちに人気の高い「ケーキ類」には、食物アレルギーを引き起こしやすい鶏卵、小麦、乳が含まれていることがほとんどです。そこで、「特定原材料を使用せず、それでいて子どもたちが喜んで食べてくれる(嗜好性の高い)離乳期用ケーキを作れないか?」と考え、新たな研究をスタートさせました。
地域食材と代替素材で挑む、新しいケーキづくり
今回の研究では、私たちが開発した「東広島産野菜使用の離乳用野菜ペースト(ほうれん草、人参、ごぼう)」をベースに、同地域産の米粉、えごまパウダー、はと麦粉を使用しました。そして、卵白の代わりになる素材として「アクアファバ(ひよこ豆の煮汁)」を活用し、5種類のケーキを調製しました。
機器分析と官能評価から見えてきた「おいしさと食べやすさ」
今回の研究でも、客観的な数値を見る「機器分析」と、人が実際に食べてどう感じるかを評価する「官能評価」の両面から分析を行いました。
まず機器分析では、焼成後2時間、24時間、8日後のケーキの物性(最大荷重、最大応力、破断荷重)を測定しました。その結果、最大荷重および最大応力には時間経過による差は認められませんでした。破断荷重については、えごまパウダーの有無によって時間経過による差が見られるものもありましたが、全体として離乳食完了期の目安である「歯ぐきで噛める硬さ」に近い物性を保っていることがわかりました。
食べる人の「いま」に寄り添い、「知りたい」を探求する楽しさ
以前のブログでも触れましたが、食べ物を生み出す上で「目的」の設定はとても重要です。
「アレルギーを気にせず、みんなで同じおいしいものを食べる体験をしてほしい」「安全な硬さ(物性)で、成長に必要な栄養をしっかり届けたい」
今回の離乳期用ケーキの研究は、見た目・味といった「おいしさ」、アレルギー対応や栄養補完といった「栄養」、そして歯ぐきで噛める「物性」、この3つのバランスを常に意識しながらレシピを設計していくことの大切さを改めて実感する機会となりました。
また、今回の研究を通じて、大学の先生方や学生の皆さんとの連携の中で生まれる熱量にも強く心を動かされました。「研究が楽しい・続けたい」という思いや、「知りたい」という気持ちに貪欲に向き合う皆さんの姿に触れ、私たち自身も探求のワクワク感を共有することができました。
これからも、地域の豊かな食材を活かしながら、食べる人の人生のフェーズや「いま」に寄り添う食べ物づくりを続けていきたいと思います。野菜のおもしろさ・人のおもしろさをさらに深く探求し、商品やさまざまな発信を通じて皆さんにお届けできるよう努力してまいります。まだまだ探究の入り口ですが、今後の展開も一緒におもしろがってくれましたら幸いです。
CONFERENCE:日本調理科学会2026年度大会
PLACE:同志社大学
DAY:2026/9/1・2
ABSTRACT:東広島の地域食材を使用した特定原材料不使用の離乳期用ケーキの物性と嗜好性
